「よ〜し、出来た♪」
バルトフェルドはご満悦な笑みを浮かべながら出来上がったコーヒーを持ち、テラスへと向かった。
ちょうど時間は昼間、日の光が容赦なくテラスに降り注ぐ。
それでも潮風がテラスへと吹き抜け暑さを適度なものとし、風の感触ががテラスで待つ客人を優しく包む。
「随分と待たせてしまったね、お嬢さん?」
「なに格好つけているのですか?」
外へ跳ねた髪がチャームポイントの客人…、ミリアリアはくすっと笑いながら軽く受け流す。
「その程度じゃ、あたしを口説け落とせませんよ♪」
「おっと。それは、こいつを飲んでから言って欲しいね♪」
バルトフェルドは自信たっぷりに、持ってきたコーヒーをミリアリアに差し出す。
「いい豆が収穫できてね。そいつを水出しという方式でアイスコーヒーにしてみたのだが?」
「では、自信の程を♪」
ミリアリアはストローを差し、ゆっくりとそれを口へ含む。
程よい苦味と酸味、それとほのかな甘みが口いっぱいに広がり、また冷たさがミリアリアの火照りをゆっくり奪っていく。
まさに昼間の至福の一時。
ところがストローから口を離したミリアリアはちょっぴり残念そうな表情を浮かべた。
「んっ? 何かご不満でも?」
バルトフェルドの問いかけに、ミリアリアは悪戯っぽく笑う。
「コーヒーは最高なんですが…、それに合ったスイーツが無いのが非常に残念ですね♪」
「おっと…、こりゃ参ったね♪」
実に女の子らしい答えに、バルトフェルドは苦笑まじりに呟く。
「今からダコスタ君に買ってきて貰おうか?」
「ダコスタさんは、今、エターナルの艦長じゃないのですか♪」
「おっと、そうだったそうだった♪」
バルトフェルドとミリアリアは顔を見合わせ、くすくすと笑いあった。
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