今回の宝塚記念は、非常に見ごたえのあるレースだった。
いくらHペースが予想できていたとは言え、前半1000mが57.5秒って……?




外回り改修後の阪神競馬場は、老朽してないので非常に馬場状態がいい。
特に開幕週は、ほぼ例外なく高速馬場になる。それが先週のマーメードS。




しかしながら、阪神は他のメイン3場(京都・東京・中山)と違い洋芝を採用している。
もっと分かりやすく言えば、函館・札幌競馬場と同じ(ただし阪神の方が、より良質)。
この洋芝が開催中に雨、特に短期集中的の雨に祟られると、要望が一変する。




分かりやすい例を挙げると、改修前の函館競馬場。
開催が経つに連れての悪化もさることながら、1度でも雨開催になると馬場は半ば田んぼと化していた……

特に最終週に雨が降った日には、馬場は完全にどろんこ。
いつの頃かは忘れたが、どしゃぶりの雨が降った中で行われた函館3歳S(現2歳S)。
ありゃ、どう考えても競馬する状態じゃなかったからなぁ……




ここまで書いた事を簡単に纏めれば、あの馬場状態であのペースは狂気の沙汰という事だw
《良馬場なら、確実に56秒前半のラップタイムだからな……》


















っで、なんで馬場の事を話したかというと、このレースの先。
つまり、凱旋門賞に向けての事を言いたかった訳だ。








2着に入ったメイショウサムソン。

レース内容は完璧。もとい、中段から競馬して3〜4角で押し上げていった内容。
馬場を考慮すれば、明らかに天皇賞時より瞬発力がついてきた証である。
去年から再三言っているが、この馬の弱点は勝負所での瞬発力。
結果こそ、アドマイヤムーンの天性の瞬発力に屈したが、典型的先行馬があれだけ瞬発力つけば充分だ。




石橋さんは敗因に「馬場が渋りすぎた」とか「早く動きすぎた」とか言っているが、
今回に関しちゃ、アドマイヤムーンが想定外の競馬しただけだから問題はない。




陣営はレース終了後、言葉を選んで話していたが、まあ凱旋門行きは間違いないと見ている。
今回、あれだけのレースをしたのだ。恥じることなく日本代表としてロンシャンへと乗り込んでもらいたい!


















対してウォッカ。

オヤジがタニノギムレットなので、渋った馬場もこなせると信じた人も多かっただろう。
しかしウォッカはダービーの様に切れ味身上の馬。結果的に馬場が渋る事によって純粋に切れ味が削がれた。
これが予想で×印にとどめた一番の理由。




でもって狂気のHペース、内枠、悪天候。
これだけ悪条件が揃うと、恩恵の斤量51kgの有利はほぼ吹き飛んだようなもの。
いかに3歳最強馬と言っても歴戦の古馬に張り合うのは無理って話だ。
また、これらが少なからず折り合いが欠いてしまった理由になっているだろう。




蛇足であるが、今回の四位の騎乗内容。まあ、可もなく不可もなくって所。
あれだけ折り合いを欠いたのは8割以上馬に問題。
また取った進路も致し方ない所。

向こう正面から4角まで外に出そうと何度も試みているが、4角で完全に外への行き場がなくなっていた。
なので仕方なくインへと行って失速…、それでも一瞬だけでも見せ場作ったのがこの馬の凄さ。




陣営のコメントどおり、このレースは間違いなくウォッカにとって最高の経験になった。
後はしっかりケアをして、前哨戦を挟んだ上で凱旋門賞へと向かって欲しい。




ただ今回の走り見ていると、欧州の馬場は向いてねぇ気がするんだけどなぁ……


















後、目を引いたのがカワカミプリンセス。

先行馬壊滅の展開で、唯一見せ場を作ったこの馬は、やっぱり強い。
正直、直線向いた時「行けるんじゃねぇか!?」と思った。
渋った馬場はOK。この辺りはしっかりキングヘイローの血を受け継いでくれている。
今回の敗因は展開、それと状態。




パドックを見ていた限りだと、まだオークス時の出来になっていない。
それでも前回のヴィクトリアマイルの時とは雲泥の差。
ここもオヤジ同様に叩き良化型と断定してもいいでしょう。




秋はちゃんとした身体で栗東に戻ってきてねw


















ダメジャーはパドックの時点で駄目じゃぁ……_| ̄|○

追い切り直後の馬体とパドックの馬体が全然違っていやがったよ…、完璧に輸送ミスだ……
現地で見てたら、問答無用で叩き斬ってたね。


















そして最後に勝ったアドマイヤムーン。

まさか坂付きの2200m、しかも極悪馬場で勝っちまうなんてなぁ……




展開は完全に後方追い込み馬おあつらえの展開。
《この辺りは3〜5着馬の顔ぶれを見れば一目瞭然》




また岩田もテン乗りなのに、恐ろしいまでに完璧な騎乗内容。
道中〜ラストの直線まで終始、馬場の良い所を通り続けたのは立派の一言。

でもって、ラストの直線。
最初は勝負根性を煽る為にサムソンに併せ馬を仕掛け、サムソンが息を吹き返すやさりげなく外へ避難。
《この辺りはパトロールビデオを見ていただくと非常によく分かる》




この馬は抜け出すと気を抜く癖を持っている…、もとい3歳春からちっとも改善されていない。
それが一番顕著に出ているのがドバイデューティーフリー。
いくらユタカ様が追うのを止めてたとは言っても、最後詰め寄られすぎである。




この悪癖を封じる為にサムソンへ併せ、サムソンの闘志に火がつくやすぐに避難。
もしも完全な併せ馬状態になっていたら勝つにしろ、もっと際どい内容になっていただろう。












もっとも今回の勝利。将来の展望が開けたのは、間違いなく馬じゃなくて鞍上の岩田。




ご存知かと思うが、ユタカ様は松田博&近藤オーナーと絶縁状態になった。
《原因は香港と皐月賞。でも、皐月賞の内容は責めたらアカンやろ…?》




絶縁になったユタカ様の後釜として白羽の矢が立ったのが岩田。
その岩田が今回、完璧すぎるレースをした以上、間違いなく今後のアドマイヤの馬の主戦となる。
アドマイヤは、馬の質・量共に秀ででている事は説明不要だろう。
すなわち、最低でも今年のアドマイヤの有力2歳馬全てが岩田の手に入った訳である。




そうなると、秋以降の勝ち星勘定が既に出来る。(軽く見積もって今年で最低6勝)
当然であるが2歳馬の他にも3歳以上のアドマイヤの馬へも依頼が来る。




既に2位アンカツとの勝利数の差が20近くあるのに、ここでさらに有力馬が確保された訳だ。
まあ、岩田が長期離脱(それも2ヶ月以上)しない限り、リーディングは確定したと言っていい。
それだけ、今回の勝利は岩田にとって意義あるものなのだ。





















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