「キラっ! わたしは姉だからなっ!」


久しぶりにカガリが家に来ての開口一番がこれだった。


ところがキラには何の事かさっぱり分からない。


当然である、過程がすっぽり抜け落ちているからだ。


それでも、一緒に出迎えたラクスはなんとなくであるが察しがついた。


「アスランに何か言われたのですね?」


ラクスは少し困った顔で訊ねると、


「ああ、そうだ!」


カガリは憤慨しきった顔で声を荒げた。


「あいつ、「落ち着きがなくて、散々に振り回す奴が姉の筈がない」って言ったんだ!」


「あらあら……」


ラクスは言葉を濁し、ちらりとキラの顔を見た。


案の定、苦虫を噛み潰したような顔をしている……


それでも声に出さない所を見ると、まだ冷静だろう。


「だから、今日は決着をつけにきた!」


カガリはぎっとキラを睨みつけた。


しかし、キラは鋭い目つきのままあさっての方向を見ている。


「おいキラ、聞いてるのか?」


「………」


「人の話を聞け!」


カガリは思いきりキラの耳を引っ張ろうとしたが、そこはキラ。


ひょいと身をかわし、逆に呆れきった顔でカガリを見た。


「そんな事の為に、わざわざここに……?」


「そんな事とは何だっ!?」


キラとは正反対に、カガリは完全に頭に血が上ってしまっている。


「わたしにとっては重要問題だ!」


「重要問題って、そんな大げさな……」


「大げさなもんか! と・に・か・くっ!!」


カガリはビシッと、キラを指差し言い切った。


「おまえはわたしの弟だ! 断じて兄じゃない!!」


「カガリさん……」


ラクスはカガリの迫力に押されて、迂闊に発言することが出来ない。


下手に動けば、それこそ収拾不能になってしまう。


とラクスが思ったその時、


「うん。ボクもそう思うよ」


キラは少々呆れた顔ではあるが、はっきりとそう言った。


「「えっ……???」」


あまりに予想外のキラの言葉に、カガリとラクスは顔を見合わせた。


しかし当の本人は、こと何気なく続けた。


「ボクが兄って柄じゃない事は理解してるよ。泣き虫だし、危なっかしいし、優柔不断だし……」


「キラ、それ自分でも言いすぎじゃないか?」


「言い過ぎじゃないよ。だってボクは……」


キラはすっとラクスの手を取り、自分の傍に引き寄せた。


「ラクスがいなきゃ、生きていけないから……」


「キ…、キラ……」


キラの行動にラクスは少し驚いたが、嬉しそうに頬を赤く染めた。


キラもそんな彼女の顔を嬉しそうに見つめた後、穏やかな表情をカガリに向けた。


「カガリもこんな情けない兄って嫌でしょ?」


「そ、それは……」


カガリは複雑な表情を浮かべる事しか出来なかった。


当初の目的は既に達成している。


これに関しては満足だ。


しかし、この心のもやもやは何だ……?


『何故か…、すごく腹が立つ……』


「あら? あらあら??」


そんなカガリに気づいたラクスはくすくすと笑った。


当然、ぴったりとキラに身を寄せたままで。


「どうかされましたか? カガリさん?」


「ラクス……、それ、あてつけか?」


「そんな事はありませんわ♪」


「そうだよ、姉さん♪」


キラはさらにラクスを抱き寄せ、にっこり微笑んだ。


瞬間……














「こんな時に「姉さん」って言うなぁぁぁぁぁ!」














カガリの怒鳴り声が家中に響き渡った……




















《あとがき》
キラとカガリの【きょうだい論議】と言いつつ、アホな話で……(汗)
書こうと思った動機も、夏コミで萌え萌えなカガキラ本を見つけた為(爆)

HPを開設して、色々な方々から話を聞いていると?
キララクスキー (キラ兄 カガリ妹)
アスカガスキー (キラ弟 カガリ姉)
というのが大多数でした。
私は(キラ弟 カガリ姉)。希少なキララクスキーです(笑)

あっ、でもちゃんと理由はあるんですよ。
キラが「姉さん」って言った方が萌えるじゃないですか♪(おい)

夏コミのお陰で、書きたい話が山のように出来ちゃいました(笑)
まあ、無理はせずにしっかりまとめてから書いていきますので。


もどる
SEEDTOP
TOP