警告!!




この話は凄まじいまでに暴走しております。
特に純真なラクススキーの方には、到底勧められない内容となっております。

また、女性の方は広い心でお読みください。
断じて、この話は世の女性に対する宣戦布告ではございませんので!!



尚、この話を書いている時の夜流田さんはかなりの酩酊状態で書いております……















重厚なジャズミュージックが流れる、ちょっと小粋なバー。


時間は既に最終電車が出てしまった後。


バーにいるのは夜明けまで楽しむ事を決めた人間ばかり。


そんな人間の中に入る女四人。


マリュー・ラクス・ルナマリア・メイリンは、個室で酒を会話を楽しんでいる。











「みんな、本当よく飲むわねぇ〜♪」


マリューはワイングラスから唇を離すと、嬉しそうに呟くと、


「そうですか? わたくしは、まだまだ大丈夫ですわ♪」


ラクスはウイスキーグラスを片手に微笑み返し、


「わたしもで〜〜す♪ ま〜だま〜だいけますよ〜〜〜♪」


メイリンも上機嫌に返す。


ところがルナマリアは、


「ちょっと、メイリン」


気分に乗っているメイリンを冷静に釘を刺す。


「さっきから飲み過ぎよ。それにお二人にそんな口の利き方して」


「な〜に固い事いってんのよ、お姉ちゃん♪」


しかし姉の言葉など何処へやら。


逆にメイリンはルナマリアにぴったり身体を寄せ、軽口を返す。


「アスランさんはいないんだから、もっと素になっちゃいないなよ〜〜♪」


「メイリン!!」


「わぁ〜〜、怖いですぅぅ〜〜♪」


姉の叱責にメイリンはわざとらしくラクスの傍へ駆け寄り、ぎゅっとしがみつく。


「ラクスさま〜〜、お姉ちゃんがいじめるぅぅぅ〜〜」


「あらあら、メイリンさん♪」


ラクスは子猫のように寄り添うメイリンの頭を撫でながらにっこりとルナマリアに微笑む。


「ルナマリアさん。今宵は女同士の席ですわ。ですから、もっと肩の力を抜いてくださいな♪」


「す…、すみません……。ですが……」


「そうそう。今夜は無礼講よ♪」


割って入ったのはマリュー。


なみなみと入ったワイングラスのワインをグイっと一気飲みしたにも関わらず、平然とした顔でルナマリアに微笑む。


「それにお勘定の心配もしなくていいわ。さっきの一次会で寄付金いただいてきたから♪」


「マリューさんの言うとおりですわ」


同調するようにラクスもグラスの酒を一気に飲み干し、ボトルを手に取る。


「ささ、ルナマリアさんもいってくださいな♪」


「は…、はぁ……」


ルナマリアは言われるままに空のグラスを手に取り、ラクスに差し出す。


差し出すとすぐにグラス一杯に注がれる酒。


それでもルナマリアは一気には飲み干さず、少しずつ飲みつつ三人の様子を窺う。


ちなみにこの席が始まって、まだ1時間少ししか経過していない。


にも関わらず、メイリンは既に出来上がってしまっている。


今はラミアス艦長にべったりくっついてしまっている状態。


ところがくっつかれているマリュー、そしてラクスの顔は普通。


もっともアルコールの為、多少頬は赤くなっているが、至って普通の状態。


二人はこの席の前に既に飲んでいる筈なのだが……


『そりゃ女同士の席かもしれないけど……』


ルナマリアは心の中で小さく溜息を一つ。


当初、ルナマリアは誘いを受けた時は消極的だった。


彼女にとってラクスは憧れを越えて象徴的存在。


マリューは伝説の戦艦の艦長。


そんな二人と酒の席で同席。緊張するなと言う方が無理な話である。


故に、ルナマリアは顔見せ程度の心づもりでいた。


ところが直前になって一緒に行くはずだったシンがアウト。


おまけに一緒に来るはずだった男衆、それとカガリが来なくなった。


大人数ならば緊張が緩和されるものの、これでは到底無理。


挙げ句にメイリンが既に出来上がってしまっている状態。


いつメイリンが粗相していまうか…、姉にとっては気が気ではない。


『ちょっとはお姉ちゃんの気苦労分かりなさいよね!』


ルナマリアの酒の進みは遅い。


出来るならばメイリンのように出来上がって羽目を外してたい。


しかし自分が出来てしまえば、誰がメイリンを止める?


ここまでの様子を見ても、ラクスとマリューが抑える様には到底見えない。


ちびちびと…、飲むしかない……。


「ねえねえ、ラクスさまぁぁ〜〜♪」


姉の心、妹知らず……


メイリンはラクスの腕にしがみつき、馴れ馴れしい言葉遣いで話しかける。


「ひとつ、聞いてもいいですかぁ〜〜?」


「はいはい。何でございましょう?」


「夜のキラさんって、どんな感じなんですかぁ〜???」


ゴフッ!!


妹の爆弾発言にルナマリアは噴き出してしまった。


「あぁ〜〜! お姉ちゃん、粗相したぁぁ〜〜!!」


激しくむせ返る姉に妹は容赦しない。


「そぅそそぉ♪ S・O・S・O、SOSOぉ♪」


「メイリン!!」


これにはルナマリアもキレた!


「調子乗ってんじゃないわよ! 少しは大人しくできないの、あんたはっ!!」


「ふ〜んだっ! 場の空気読めないお姉ちゃんに言われたくないよ〜だぁ!!」


まさしく売り言葉に買い言葉……


ツーンとそっぽ向く妹に姉の鉄拳が振りかざされ様としたその時、


「夜のキラですか?」


やんわりとしたラクスの声が一触即発の空気をさらりと流した。


「そうですわねぇ〜〜〜」


少し考えるラクス。


メイリンはわくわくした顔でラクスを見る。


ルナマリアは「妹の戯言、聞き流してください!」と言おうとしたが、やっぱり気になって言葉を押しとどめ、ラクスを注視。


ここまで傍観していたマリューも、ラクスに注目。


この時、店に流れていた音楽が終わり、少しの静寂が場を包み込む。


何とも奇妙な間。


メイリンがこくんと、喉を鳴らした時、ラクスは女神の様な微笑みを浮かべ柔らかく告げた。


「夜のキラは……、いい声で鳴きますわ♪」


……


…………


音楽は再び始まり、重厚かつ繊細な音色が店を包み込む。


しかしラクスを除く三人は沈黙…、いや……、


『鳴くって…、あの伝説のパイロットが…? ううん、それよりも……!?』


ルナマリアはあまりの衝撃に瞼を動かすどころか、息をすることさえ出来ない。


ルナマリアにとってキラは、唯一アスランと同等な伝説的パイロット。


また何度もキラの戦いぶりを見ている彼女にとって、キラは言わば戦神。


その戦神が、夜はラクスに弄ばれ……


『ラ、ラクス様がっ…、そっちの……!!』


ルナマリアが受けた衝撃はキラの事よりもこちら。


ルナマリア…、いや全世界の人々にとってラクスは純真にして高潔な女神。


その穢れなき女神が夜では、あの戦神をっ!!!


「本当、いい声で鳴きますわ♪」


そんなルナマリア…、三人の事を知ってか知らずか?


ラクスは手酌で注ぐと、くいっと飲みながら楽しそうに続ける。


「ですが鳴くのを我慢している時。わたくしはそれが一番そそられますわぁ〜〜♪」


カタ…、カタカタカタ……


無意識にルナマリアの体が震え出す。


メイリンは完全にラクスにしがみついたまま硬直。


マリューは普通に手酌しながら酒を飲んでいる……。


「特に耳を攻めた時のキラのお顔、もっと苛めたくなって仕方ないですわ♪」


言い終えると、もう一度くくっと一杯。


そして、とどめの一言……


「ああ…、帰りましたらキラを襲ちゃいそうで怖いですわ〜〜〜♪」


ゴトッ…、コロコロコロ……


ルナマリアの手からグラスが零れ落ち、ゆっくりとテーブルの上を転がる。


少々酒が残ってはいたが、テーブルの上における実害はほとんどない。


しかし、あまりの発言内容にルナマリアは固まるしかない……


にも関わらず、メイリンはさならる爆弾を投下する。


もっとも先程とは違い、恐る恐るとした感じではあるが。


「ラクス様…、それはアスランさんも……?」


「アスラン…? そんな事、わたくしがすると思いまして??」


間髪いれずにラクスは返す。


だが、ラクスの表情は今までの上機嫌なものから打って変わり、とても不機嫌なものへと変わっていた。


「そもそもわたくしとアスランは何もございませんでしたわ」


『えっ……!?』


この言葉に石化しているルナマリアが瞳だけ反応を示す。


彼女の瞳に映るのは、怒りとも取れるラクスの不機嫌な顔。


「それにアスランにその様な甲斐性があると思いまして? どうせカガリさんに対しても、昔と変わらぬ朴念仁ぷりを……」


「そうでもないわよ」


不意にマリューが割って入り、ルナマリアの視線もマリューへと流れる。


マリューの表情は至って普通…、今までの事にも動じた様子が一切ない。


「アークエンジェルでカガリさんと一緒にお風呂に入った時、カガリさんの体を見たけど……」


マリューはグラスの酒を飲みながら、さらりと告げる。


「カガリさんの体、男を知ってる体をしてたわよ」


「あら? そうなのですか?」


「ええ。そうじゃなかったらあんなに艶やかな肌してないわ。それに2年間も一緒にいていながら手を出さない男なんていないわよ」


「あのアスランが…、にわかに信じられませんわ……」


「まあ、アスラン君も男の子って事よ」


マリューとラクスとの間ではしっかり会話が成立している。


しかしルナマリアは、この会話に全くついていけていない。


それはメイリンも同じ。


メイリンはラクスの腕にしがみついたまま見事に固まってしまっている。


そんなメイリンにマリューが興味深そうに訊ねる。


「もしかしてメイリンさん、まだアスラン君に抱かれてないの?」


「………」


メイリンは返事するどころか、身動き一つしない。


するとマリューはラクスの腕にしがみつくメイリンを引き剥がし、自分の額と彼女の額をぴったりと重ねた。


「メイリンさんの立場は理解しているわ。だけど、抱かれたい男がすぐ傍にいるんだからちゃんと抱かれないとダメよ?」


「は…、はわわわ……」


ようやく自分の置かれた状況に気づいたメイリンは抵抗しようとする。


ところが、マリューにしっかりと後頭部を押さえられ離れる事が出来ない。


「いい? 『据え膳喰わぬは男の恥』って言うけど、逆の言い方をすれば『据え膳喰われぬは女の恥』でもあるのよ? 分かる???」


懇々と自分の哲学をメイリンに語り始めるマリュー。


ラクスはその光景を、とても楽しそうに眺めながら酒を進めていく。


そしてルナマリアは……


『じょ…、冗談じゃないわよぉぉぉぉ!!』


ルナマリアは手近にあったボトルを手に取ると、そのままボトルに残っていた酒を一気に飲み干した。


ちなみに彼女が手に取ったボトルはウォッカ。


一瞬にして彼女から正常な思考能力を奪い去る……。


「ちょっと!!」


ルナマリアはボトルをテーブルに叩き付け、狂気に染まったが如くの瞳でマリューを睨みつけた。


「おばさん! あたしの妹に変な事を吹き込むんじゃないわよ!!」


「……、おばさんって…、私……!?」


即座にマリューの眉間に無数の皺が寄り始める。


ところが今のルナマリアに正常な判断も言葉遣いなど存在しない……。


「他に誰がいるって言うのよ!? ちょっと胸が大きくて経験豊富だからって調子に乗るんじゃないわよ!!」


「誰が経験豊富ですってぇぇぇ!!!」


マリューもボトルを手に取り、ラッパ飲み……


そして、そのままドロドロの女の戦いが火蓋をきる事に……


無論、メイリンは二人を止めようとするが逆にいいネタにされ振り回され、飲まされ数分後にはあえなく撃沈……


ラクスに至っては……


「あらあら♪ 今宵は本当に楽しいですわ♪」


二人の戦いを高みの見物を決め込みながら、悠然と飲み続けた。

















戦いは明け方まで繰り広げられ……





その歴史はマリューとルナマリア、メイリンの記憶に残る事はなかったという……























《あとがき》

2次会……
「この度は、この様な話を書いてしまい、心よりお詫び申し上げます」
(大阪市の不祥事会見の様にw)

久々に暴走したなぁ…
もとい、こんな話をUPしちゃっていいのか今でも本気で考えてます…

酒の席では暴走が付き物。
それも大抵の事の発端は出来上がった奴の何気ない一言が始まりになる事が多いですね。経験上…
暴走が始まれば最後です…
《オレも何度、これに近い状況を経験した事か…》

皆様、酒の席ではご用心♪
ちなみに、今回の話は実話3割ほどですので♪


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