アークエンジェル―――
今はフリーダムと共に、二度と目覚める日が来ない事を願いながら静かに眠り続ける【大天使】。
わたくしは今、そのアークエンジェルにいます。
当然、この艦の船長であるラミアス艦長、それとこの聖なる封印を護るカガリさんの許可を得ています。
『ここで、わたくしは……』
わたくしは、アークエンジェルに乗り込むとすぐに展望室へと向かいました。
展望室は、この艦でわたくしが一番好きな場所。
たくさんの思い出をいただいた場所……
『あの時は、本当に手を焼かせてくれましたわ……』
わたくしは窓の向こうを見ました。
今、現実に見えるのは頑丈な金属の壁。
ですが、わたくしの瞳に見えるのは深い青の世界に舞い降るマリンスノー。
思い出す感触は、『絶対に離したくない!』という強い思いが込められた微かな痛みと、温もり……。
『そして……』
瞳に映る景色が、漆黒の闇にわずかに輝く光の世界に変わりました。
あの時…、キラとこの場所で出会った時……
『キラ……』
わたくしは、視線をすぐ横へと向けました。
今はわたくし一人、誰もいません。
ですが、今でもはっきりと思いだす事が出来ます。
穢れるにはあまりに尊き心を持ちながら、
運命と言う神々の気まぐれによって綴られたシナリオによって傷つき、穢れるキラの姿が……。
それから、わたくしは運命というシナリオによって再びキラと巡り合い、愛し合い……
『いいえ…、違うますわ……!』
わたくしは、心の中で冷笑しました。
確かに、わたくしは神々によってこの世界に産み落とされたました。
キラと巡り会わせてくれました。
ですが、わたくしがキラを愛したのはわたくし自身の意思。
キラがわたくしを愛してくれるのはキラの意思。
神々の思惑など関係ありません!
『しかしながら、今日だけは神々に感謝しましょう』
今日はわたくしがこの世界に生れ落ちた日。
生れ落ちなければ、キラと巡り会う事はなかった訳です。
ですから、この事だけは心から感謝します。
『ですが、これだけは、はっきりと申し上げます……』
今日、アークエンジェルに来たのはこの為。
【大天使】と謳われるこの艦こそ、神々に最も近い場所……
そして、初めてキラと一緒にわたくしの誕生日を迎えた場所……
この場所こそが、わたくしの確固たる意志を示すに相応しい場所……
そう、思ったから……
「わたくしからキラを奪う真似をした時は、容赦いたしませんわ!」
《あとがき》
2回目のラクス誕生日小説。
にしちゃ、もの凄く重い内容になってしまいました…
誕生日らしく激甘イチャLOVE話も考えたのですが、それはいつも書いていますし…(笑)
かと言って、お笑いに走るのも無理な所が多いですし…
などなど、色々考えているとふっと思ったのが、
【ラクスは無神論者】ではないのか? という疑問。
ラクス自身、女神の様な存在であるにも関わらず、アニメでも小説でもラクスが神に感謝するシーンは一つもない。
《厳密に言えば、小説では1箇所あり。しかし、信仰者の言葉じゃない》
それにキララクの関係って、神々と喧嘩して築き上げた関係じゃないですか♪
なので、誕生日という節目に改めて神々に宣戦布告する話にしました。
それと夜流田さんが凛々しいラクスを書きたかったのも、理由に一つw(笑)
それでは、最後に……
お誕生日おめでとう、ラクス♪
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