「綺麗ですわね……」
ラクスは窓の外に広がる光景を見て、静かに呟いた。
樹木にはこの季節にしか咲かない純白の花。
地面を完全に覆い隠す純白のカーペット。
そして、空から舞い降る純白の雪。
ラクスは自然が織り成す美に酔いしれて、その世界をもっと間近に見ようと窓を開けようとした。
その時……
「ラクス、やめてぇ!!」
後ろから悲鳴にも似たキラの声が上がり、ラクスは現実へと引き戻される。
一緒に、せっかくの良い気分も吹っ飛ばされ……
「キラ……」
ラクスは窓の外で吹いているような冷たい視線で振り返る。
「キラの気持ちは分かりますが、いい加減……」
「やだ……」
キラはぷくっと頬を膨らませ、ぷいっと顔をそらす。
「ボク、寒いの大嫌いだもん……」
子供じみたキラの態度にラクスは呆れた表情を浮かべて言い返す。
「でしたらドライブに連れて行ってくださいな。車の中でしたら暖かいでしょ?」
「無茶言わないでよ」
ラクスの言葉に、キラは物凄く不機嫌な顔をし、
「ボクの運転技術でこんな日に車を走らした日には、間違いなく事故るよ。それにボクの車は……」
キラは具体的に無理な理由を説明し始めたが、ラクスからすれば言い訳ばかりする子供と全く変わらない。
「要するに、キラは……」
ラクスはキラが居座る場所へ冷たい視線を向け、冷たい声で吐き捨てた。
「わたくしよりも、炬燵(こたつ)の方が大切なのですね」
「………。そんな訳、ないじゃない」
すぱぁぁぁぁぁんっ!!!
ラクスの中の何かが弾けた。
ラクスは炬燵に居座るキラの背後に立つと羽交い絞めにし、問答無用でキラを炬燵から引きずり出した。
「何ですか! その一瞬の間はっっ!!」
「ちょっ…、いきなりどうし…、ああっ、寒い! 寒いよっっ!!」
「そんなに寒ければ、わたくしの代わりに家の事をすればよろしくてっ!」
ジタバタ抵抗するキラの事などお構いなしに、ラクスはずるずるとキラの身体を引きずる。
そして、この日は…、寝る時間までずっとキラが家の事をする羽目になった……
当然ながら、ラクスの厳戒な監視の下で……
《あとがき》
2月はバレンタインデー。
なんですが、今年は異常に寒い日が続くのでこんなネタでw
コタツとは本当に恐ろしいものです。
一度入ると抜け出すことは困難を極め、どんなにしっかり者でもだらけさせてしまう物なのです!(力説すな)
夜流田さんの家にはコタツはないのですが、友達の家にあるコタツに入ると帰るまで一歩も出ませんから!(最低や…)
この話では、キラは寒さが大の苦手。ラクスは寒さに強い設定に。
当初は一緒にコタツでイチャこかそうと考えたのですが、話が危ない方向にいっちゃうので、こんな感じに♪
《どういう風に危ないかは、各自の想像に任せます!》
今年から【月間キララク】の設定に追加変更がありますが、今月はキララクだけで。
来月の【月間キララク】には新キャラが登場しますよw
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