わたしのおとうさま……
強くて、優しくて、格好よくて……
ですが、おかあさまにはとっても甘えん坊なおとうさま……
わたしの大好きなおとうさま……
そんなおとうさまの膝の上が、わたしの一番大好きな場所……
今日もおとうさまの膝の上で、わたしはおとうさまと一緒……
「おとうさま、おとうさま」
イヨは、アルバムに収められている一枚の写真を指差しながらほんのりと頬を赤く染めながらキラの顔を見上げた。
「この写真、おとうさまがおかあさまとご結婚した時の写真なのですか?」
「うん。そうだよ」
キラは懐かしそうな表情を浮かべながら、娘と一緒に写真に見入る。
「ラクス、とっても綺麗でしょ?」
「はい。ですが、それ以上に……」
イヨは父親を見上げながら、屈託のない笑みを浮かべた。
「おとうさま、本当に凛々しくて素敵です♪」
「えっ…? あっ、本当???」
「はい。おとうさま、本当に素敵です♪」
「ははは。イヨは本当に良い娘だね♪」
キラは優しく愛娘の頭を撫でながら、すっかりご満悦。
ところがイヨは、何故か寂しげな表情を浮かべて父に言った。
「おかあさまはおとうさまのお嫁さんなのですね……」
「えっ???」
「ですから、わたしはおとうさまのお嫁さんにはなれないのですよね……?」
「うん。そうだよ」
キラは撫でる手を離し、しっかりと真摯な面持ちで娘を見る。
「ラクスはボクにとって全ての女性……。だから、ボクはラクス以外の女性とは決して結婚しないんだよ」
「わたし…、でも…、ですか……?」
「うん。でもね……」
キラはイヨを包み込むように背中から抱きしめた。
「イヨはラクスの次に好きだよ。おとうさんとおかあさんの一番の誇りなんだよ……」
「はい」
イヨは父の胸の中で力強く頷き、ぎゅっと抱きしめられる温もりは身体一杯で感じた。
一通りアルバムを見終わると、キラは不意に娘に聞いた。
「イヨはどんな人と結婚したいの?」
「はい?」
「だから、イヨはどんな人と結婚したいのかな?」
キラはにっこり笑顔で聞いている…、目以外は……
「おとうさまは、ダメですから……」
しかし、まだ大人の複雑な駆け引きを知らないイヨは、にぱっと笑いながら言った。
「アスランおじさま」
「っっっっっっっ!!!!!!!」
「と、いうのは冗談ですわ♪」
一瞬、凍りついた空気がすぐに氷解していく。
「わたし、おとうさまの様に素敵な人と結婚しますわ」
「ほほほ…、本当に……?」
「はい。おかあさまもおばあさまも、そしておとうさまも心から認めてくれる素敵な人と結婚しますわ♪」
「う、うん…、そうだね、そうだよね……」
キラは最初のあまりに笑えない冗談のショックを必死に隠しながら、その場を取り繕った。
「あらあら……」
「あらあらまあまあ……」
父と娘のやり取りの一部始終を遠目から見ていたラクスとカリダは、何ともいえない気分だった。
「あの、お義母さま……」
ラクスはひそひそ声でカリダに聞く。
「イヨの育て方…、少し考えたほうがよろしいのでしょうか……?」
「難しいところね……」
カリダもひそひそ声で返す。
「でも、男を見る目はラクスに似ている筈だから心配ないと思うけど……」
「イヨがお嫁に行く時が本当に心配ですわ……」
二人揃って、小さく溜息を一つ。
そんな心配をよそに、二人が眺める先にいるイヨは本当に無邪気にキラにべったり。
キラはキラで、愛娘にべったり。
今は将来のことよりも……
今ある、穏やかな一時を見守りましょう……
《あとがき》
6月は【ジューン・ブライド】という事で、思い切りベタな父娘のやりとりでw
ってか、キラがますます危ない方向に行っている気がしてなんねぇなぁ…(滝汗)
いや、むしろイヨが危ない方向に…(爆)
そんなキラとイヨが本当に心配なラクスとカリダさん。
このままではイヨが嫁ぐ時、確実に修羅場ですからねぇ〜(おい)
さてさてイヨと一緒になる男はいるのでしょうか?
もとい、キラが納得できる様な男はいるのだろうか…?
まあ…、一応そういう設定も考えちゃいるのですが、それはまた後日に…(一体、いつになるのやら)
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