【オーブの獅子】の遺志を継いだ、新たな獅子……


だけど、神は獅子に容赦ない仕打ちを与え続ける……


カガリ・ユラ・アスハに……


ボクの姉さんに……











―――――――――― 獅子の涙 ―――――――――――











カガリは帰艦後すぐに倒れた。


一日過ぎた今も医務室で眠り続けている。


しかし、眠っているはずなのに止まろうとしない。


カガリの目から溢れ出る涙を……


それなのにボクは何も出来ない。


カガリを見守ることしか出来ない……


『どうして……』


あの戦闘で、多くの命が散った……


オーブを愛する人たちが、その命を散らした……


カガリの叫びを分かりながらも、オーブの国を護る為に散っていった……


カガリの目の前で多くの命が……


『どうして分からないんだ……っ!!』


ふっと脳裏に浮かび上がる友の…、アスランの顔……


確かにアスランの選んだ道は間違っているとは言えない。


でも、ボクはアスランを許せなかった。


プラントやもっともらしい大義を盾にカガリを見ようとしないアスランが……、


本当に許せなかった!!


『アスラン……』


力のかぎり拳を握り締めた。


痛い…、痛いけどこんな痛み、カガリが受けた痛みに比べれば……


しかし、カガリの痛みを癒せるのはこの世で一人しかいない。


その事実が余計に腹立たしい……


『それに、あのガンダム……』


オーブの艦を次々と沈めたあのガンダム。


はっきりと分かった。あのガンダムのパイロットは溺れている。


憎しみに…、その力に溺れきっている……


『あれが君を狂わせているのか…、それとも君があれを……』


分からない。


どんな人間が乗り、何の為に戦っているかなんて分からない。


それでもボクは負けるわけにはいかない


絶対に負けてはならない。


『奇麗事だって言いたければ言えばいい! それでもボクは!!』


握りしめる拳から血が滴り落ちた……


だけど今、ボクが泣くわけにはいかない。


ボクは絶対に守り抜く!


世界を敵に回しても絶対に守り抜く!


【オーブの獅子】の魂を、願いを……


この世でただ一人の姉さんを……っ!!













《あとがき》
28話から
3人《キラ・アスラン・シン》の戦う理由がはっきりと出た話だと思います。
自分に忠義を貫き通すキラ。
自分の意志を都合よく誤魔化し、逃げ回るアスラン。
己の欲望を満たすだけに刃を振るうシン。

まだアスランは救いようがあると思うけど、シンに関してはもうダメじゃないかな…
《シンスキーの皆様、本当にすみません…》

キラにとってカガリはラクスとは別の意味で尊い存在だと思います。
だからこそ、アスランの言動がキラの逆鱗に触れたのでしょう…

某オフィシャルブックには大団円で終わらせるって書いてるけど、とても信じられないよ…


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