今、わたくしの名を語る偽者がいます。


名はミーア・キャンベル。


デュランダル議長が見つけ、ザフトのプロパガンタとして利用しています。


気分が良いとは、到底言えません。


それでも、わたくしの名を語るだけならばそれでよろしいです。


ですが……、


『クライン』の名までも語るとは……っ!!

















――――――――――――  継ぐ者  ――――――――――――――――











今、わたくしはキラと離れ宇宙に、エターナルにおります。


目的は情報収集。


そして、キラに新たな剣を託す為に。


ですが、それはまだ先の話。


当面は集められるだけの情報を集めることに終始しております。


わたくしは机に置かれた一枚の写真を手に取りました。


『ミーア・キャンベル……』


これがわたくしの名を語る偽者。と同時に、今のプラントにおける絶大なプロパガンタ。


どういった経緯でわたくしの名を語る事になったか存じません。


ですが、この人は分かっているのでしょうか?


いえ、おそらく分かってはいないでしょう。


『したたかと…、言うべきでしょうか……』


女の子が写っている写真をおき、別のもう一枚の写真を手に取りました。


写っているのは現在の代表評議会代表ギルバート・デュランダル。


彼が指揮する政治は穏健路線を示しています。


またパトリック・ザラとは違い、強硬手段には訴えてはいない。


それだけを見れば良い政治をしているように思えるでしょう。


ですが、絶対に何かしらの陰謀を秘めているのは確か。


ミーア・キャンベルがその最たる……、


『違う……っ!』


わたくしは持っていた写真を床に投げつけました。


確固たる怒りを込めて。


『わたくしだけならまだしも……』


宇宙に上がって初めて知りました。


デュランダル議長はわたくしの名だけではもの足らず、あの人の名まで利用している事を。


あの人…、それはシーゲル・クライン……


あの戦争で凶弾に倒れた……


わたくしに道を説き、示してくださった……


わたくしの父の名を……っ!!


『おとうさま……』


髪飾りを外しそっと手のひらに乗せ、見ました。


三日月をかたどった髪飾り。


幼い頃、父がくださった髪飾り。


そして、唯一の父の形見……


『今のわたくしをお叱りください……』


憎しみは何も生み出さない。


生み出すとすれば、それは新たな憎しみ……


分かっています!


ですが、わたくしは許すことが出来ません!!


【クライン】の名を…


父の名を語る……


眠れる魂を冒涜するあの者達がっ!!!


『必ずや、おとうさまのそして……』


平和を願い、散っていった方々の思いを叶えます!


思いを同じくする方々と、そして……、


キラと共に……
















《あとがき》
29話のデュランダルの回想を見て思いついた話。
言うなればラクス版の29話といった感じです。

私の思うラクスは決して聖人君主ではないです。
怒ったり憎んだり、と誰もが持っている負の感情を持っています。
ですから死んだ父親の名を使っている事を知れば絶対に怒るはずです。
そんな負の感情と葛藤し、それでも慈しむラクスが私は好きです。

キララクが離れ離れになってはや2週間(私の地域は一週遅れではないです)
そろそろ禁断症状が……(早っ!)
16歳のキララクもいいが、オレは今のキララクが見たいんだYO!
ミネルバはいいから早くアークエンジェルもといエターナルを!!


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