『この人が……』
アスランさんは確かに【ラクス】と言った。
ならば、この人が本物の……
「はじめまして。メイリン・ホークさん」
えっ……?
どうして、ラクス様がわたしの名前を知っているの?
ただの一兵卒だったわたしの名前を……?
「おおよその事は、キラから伺っていますわ」
ラクス様は穏やかに微笑みかけてくれる。
だけど、わたしはその言葉にも驚いてしまった。
キラ……
それはアスランさんの親友であり……
あの【ヤキンのフリーダム】のパイロット……
「あら……、少し急いでしまったようですね」
ラクス様は少しだけ表情を崩し、そっと頭を下げようとしました。
「ま、待ってください!」
わたしは慌てて姿勢を正し、凛とした声をあげ、強引にラクス様の動きを止めました。
わたしの様な者などに頭を下げるなんて……、とんでもありません。
「どうか、されましたか?」
ラクス様はきょとんとした顔でわたしを見ています。
そのお姿は、わたし達が知るラクス様のお姿ではありません。
ですが、それでも……
『これが本物の……』
そよ風の様な柔らかな雰囲気と一緒に感じました。
わたしの様な女では到底持ち得ない風格と、一転の曇りのない眼差しを……
「わわわ…、わたしは…、その……」
「そんなに気を張らなくてもよろしいですわ」
緊張感いっぱいのわたしに対して、ラクス様は穏やかな顔のまま言葉を続けました。
「どうぞ「ラクス」とお呼びくださいな」
「ととと、とんでもありません!」
思わず敬礼の姿勢をとってしまいました……
それでも固くなった口をわたしは懸命に動かしました。
「ラクス様を呼び捨てになど出来ません! それに、わたしはラクス様より年下であります!」
「では、「ラクスさん」でもよろしいですわ♪」
そういう問題では……
と一瞬思ってしまいましたが、すぐにそれは消えました。
ラクス様はわたしを一人の人間として見てくれています。
そう、この艦の皆さんと同じように……
「今は立て込んでいますので、手短に……」
ラクスさんは表情を変えず、あの麗しい声で告げました。
「焦らないでください」
「えっ……?」
何を仰りたいのか…、わたしには分かりません。
すると、そんなわたしの心中を察したかのようにラクス様は続けました。
「今のあなたは物事が一気に見えすぎています。ですが、その全てを無理に捕らえる必要はありません」
「見えすぎて……? 捕らえる……?」
「今、自分は何が出来るのか? まずは、それを考えてください」
ラクス様は、そっとわたしの手を握りました。
温かい……
全てを優しく包み込む様な温かさがわたしを包みました……
「そして道に迷った時は見て、聞き、感じなさい。そうすれば、必ずやあなたが求める場所へといけますわ」
「わたしが求める場所……」
「わたくしも、及ばずながらお助けしますわ」
ラクス様は、そっと手を離しました。
そして、わたしを見つめました。
慈愛と決意に満ち溢れた瞳で……
「では、また後ほど……」
ラクス様は一呼吸置いてから、すっとわたしの前から姿を消しました。
『あっ……』
わたしは何も出来ず、ただラクス様のお姿を見送る事しか出来ませんでした。
『ここに集う人達は……』
不思議です……
どうして、わたしの様な人間にここまで優しくしてくれるのか……
『でも…、わたしは……』
何処へ向かえばいいのか……?
それはまだ分からない。
でも、ミリアリアさんとラクス様はわたしにくれた……
深い闇夜を照らす一筋の光を……
今は、その光を辿ろう……
《あとがき》
42話から。
メイリンとラクスが初接触。
個人的に、2人が何を話しているのかが気になっての捏造です。
【天使の安息】のミリィ同様、ラクスも様子見の段階。
でも、メイリンは本物のラクスを目の当たりにして緊張しっぱなし。
《ここで、管理人の国語力の無さが浮き彫りになっている…(汗)》
まだ、メイリンは心の整理がついていない状態と思います。
ですので今はゆっくり整理して、進む道を選んで欲しいです。
《個人的にはエターナルのCICになって欲しい(笑)》
本編の内容次第ですが、次はマリューさんとメイリンにしようかと。
ってか、あのヘタレはもういらねぇかな?(えっ)
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