「貴方は何と戦うおつもりですか?」


いつの日だったか、彼女はそう言った。


その時、僕は漠然とした答えしか出来なかった。


だけど、今ならはっきり言える。


僕達に未来を託した人々の思いを……


彼女を護る為に、と……


















――― 決意 ―――


















『ああ、そうだった……』


僕は視線を肩もとに落とした。


僕の肩に寄りかかるようにして眠るラクスの顔が目に入った。





……戻ってきた時、ラクスは僕に飛びこんできた。


みんなの前なのに、と思ったけど、すぐに全身の血液が凍るような感覚に陥った。


ラクスは泣いていた……


はばかる事なく大声で泣き、僕を離そうとしなかった。


そこから先の記憶はない。








『きっと……』


周りを見渡したが、人の気配はない。


あるのは潮と木々の匂いが混ざった温かな風だけ……


『きっと、母さんだろうな……』


間違いない、母さんの仕業だ。


母さんは僕がラクスのことをこの世で一番大切な存在であることを知っている。


だから、気を利かせてくれたのだろう。


でも、後でみんなにどう言い訳すればいいのだろう?


特にバルトフェルドさん。あの人は、明らかに僕達のことを楽しんでいる気があるし……。








『でも、今は……』


もう一度、ラクスの顔を見た。


目元が腫れている。寝顔もどこか辛そうだ。


『ラクス……』


そっと彼女の頬に触れた。


わずかながら濡れている。きっと眠る直前まで泣いていたのだろう……。


けれど僕は思う。


どうして彼女は泣いたのだろう。


僕が無事に帰ってきたことを喜んで?


それとも、自分が原因で僕の手を再び汚してしまった負い目で?


それは、彼女にしか分からない……








『今までゴメンね……』


たまらず、僕は体勢を変えてそっとラクスを抱きしめた。


今にも崩れてしまいそうなほど華奢な彼女の身体。


彼女はそんな身体でずっと戦ってきた。


戦争を、憎しみの輪廻を止めようと、


凍りついていた僕の心を溶かそうと、


ずっと独りで懸命に……


『でも、もう大丈夫だから……』














もう、迷うことなんてない。


僕はラクスと共に進む。


これからどれだけの苦難があるかなんて僕には分からない。


だけど、僕は絶対にラクスを護りぬく。


ラクスと添い遂げる……!










《あとがき》
13話直後を捏造しました
もう、キラに2年前のような弱さはないでしょう
それに、色々と理由を並べてもキラが戦う理由は「ラクスを護る為」ですよね
だからキラの決意を、という事で

でもカリダお母さん、いい仕事してますね〜〜(笑)
TVでもとっても素敵なお母さんですし、声が井上喜久子様だし♪(おい)
ラクスとカリダさんの話、もっと色々書きたいな〜〜


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